【GD18】フィリピンの貧困地域の子どもたちに「出生証明書」を届けて学校へ! の詳細

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生まれたという証明がないために、学校に行くこともできず、正規の仕事に就くこともできず、そして病院で保険の適用も受けることができない―。これまでの活動で私たちはそうした子どもたちに出会ってきました。クリスマスを迎える子どもたちに贈り物を、産まれてきてありがとう!を形にする活動に、ご支援をお願いします!

フィリピンの貧困地域の子どもたちに「出生証明書」を届けて学校へ!

ごみ収集車の荷台で、ごみの分別作業をする少年たち

ごみ収集車の荷台で、ごみの分別作業をする少年たち

「スモーキーマウンテン」と呼ばれるごみの投棄場で有名なフィリピンのパヤタス地区。ごみ拾いの仕事を求めて地方から多くの貧困層が流入したこの地区では、フィリピンの平均収入の3分の1に満たない、1日約400円以下で生活をしている貧困世帯が過半数を占めています(=フィリピン統計局 2015年時)。学校へ通うことができていない子どもも少なくありませんが、なかには「出生証明書がない」ために学校へ入学することができない子どもたちがいます。(※弊団体理事を務める行政書士によると、フィリピンでは日本のような厳密な戸籍制度や住民届出制度が徹底されておらず、国家統計局の発行文書でもある出生証明書が戸籍や住民票のような役割を果たします。 )

出生証明書を持っていないと、どんなことが起こるのか?

ごみのリサイクルショップのすぐ横で暮らす家族

ごみのリサイクルショップのすぐ横で暮らす家族

出生証明書を持っていないことによって、生きていく上で様々なことが制限されてしまいます。私たちがこれまで活動してきた中では、出生証明書がないために学校へ入学することができない子どもたちがいました。また、病院へ行った際に保険の適用も受けられないため、医療費は全額自己負担になってしまいます。職を得ることも難しく、ゴミ拾いのような危険で不安定な仕事に就くことが多くなります。そして婚姻届を出すことも難しくなります。

そして出生証明書がない子どもたちは、年齢が定かでないことから、児童労働、早期結婚、人身売買のターゲットにされやすくなります。また司法の場で、未成年であるのにもかかわらず、それが証明できないがために成人の刑罰を与えられる可能性もあります。

出生証明書を持つことは、子どもの基本的な人権。

子どもの権利条約が「児童は、出生の後直ちに登録される。児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有する」と定めている通り、出生登録は子どもの権利です。フィリピンは本条約に批准(1990年8月21日)しているのにも関わらず、200万人以上の子どもが出生登録をされていないと言われています(=ユニセフフィリピン推計)。パヤタスのあるケソン市の推計では、市内の5~7%の子どもが未登録になっています。

なぜ出生証明書を持っていないのか?

子どもがこれまでに出生証明書を取得できなかった背景には「経済的な貧困」と「保護者に必要性が十分に理解されていないこと」があると私たちは考えます。子どもが生まれた時に出生証明書を取得するためには、パヤタスからの交通費も含めて400円ほどかかります。これは彼らの1日の生活費(※)に相当します。子どもが生まれた直後に、1日の生活費ほどのお金をかけて証明書取りに行くことが難しい家族もいます。(※=現地のスタッフが聞き取った5人家族の例,食費:240円、日用品:40円、水道光熱費・家賃:100円、子どもの通学にかかる費用:40円)

そして出生証明書を改めて申請するとなると、費用も手間もよりかかってしまいます。申請には以下5つの書類を用意する必要があり、その取得にはパヤタスからの交通費も含めて約1,500円ほどかかります。これはおよそ4日分の生活費に相当します。

なぜ出生証明書を持っていないのか?②

パヤタスで閉鎖したごみ山を見つめる子どもたち

パヤタスで閉鎖したごみ山を見つめる子どもたち

保護者が出生証明書に対する適切な情報を得られず、出生証明書がないことへの危機感が薄いことも原因の一つだと思われます。私たちが保護者向けに出生証明書の取得に関する説明会を開いても参加してくれない保護者の方がいたり、必要な書類の作成や取得に非常に消極的な保護者の方もいたりしました。

「このままでは多くの子どもたちが出生証明書がないまま育ってしまう。」そんな危機感から、私たちは出生証明書の取得支援を開始しました。

出生証明書の取得サポートと識字教室の実施

出生証明書を手に喜ぶ子どもたち 右から2番目がJちゃん

出生証明書を手に喜ぶ子どもたち 右から2番目がJちゃん

私たちは今年の4〜10月にかけて、出生証明書の取得支援として、保護者向けの説明会や申請書類の記入会を開きました。出席ができない保護者へは家庭訪問をし、自宅で書類の作成をサポートしました。市役所に行く時間と交通費を捻出することが難しい家庭が多いため、代行して書類の取得や提出をしに何度も足を運びました。

その結果、出生証明書を持っていなかった8名の子どもが出生証明書を取得し、学校へ通うことができるようになりました。その中で8歳の女の子、Jちゃんのストーリーを紹介します

出生証明書と夢を手に入れることができた、Jちゃん

制服を身に纏ったJちゃん

制服を身に纏ったJちゃん

Jちゃんの家は母子家庭です。父親がお母さんに暴力を振るっていたので、お母さんがJちゃんを含めた4人の子どもを連れて逃げました。焼き鳥の路上販売で得られる約400円の収入で生活をしています。兄弟はJちゃんも含めて誰も学校へは通えていませんでしたが、長女のJちゃんには学校へ行ってほしいという願いから、お母さんが就学支援事業に参加しました。

Jちゃんは、ソルト・パヤタスが実施をしていた識字教室(4~6月)に通っていました。Jちゃんは識字教室に参加をしている時はいつも物静かで、誰にも心を開いていない様子でした。しかし6月から学校へ通いはじめてからは、徐々に笑顔が増えてきました。Jちゃんの将来の夢は「学校の先生になること。」Jちゃんは出生証明書を取得して学校へ通えるようになり、夢を語ってくれるまでなりました。

そんなJちゃんの変化を喜んだお母さんは「息子たちも学校に行かせたい」と意気込んでおり、来年息子たちも学校へ入学ができるように、準備を一緒に進めています。

頂いた資金の使い道

識字教室の様子

識字教室の様子

今回みなさまから頂いたご寄付は、2019年に実施をする子どもたちへの就学支援事業に活用をさせて頂きます。フィリピンでは6月に新学期を迎えます。出生証明書の取得と学校への入学支援を実施した後は、子どもと家庭への伴走支援も実施を致します。学校に入学後に、勉強についていけなくなったり、クラスでいじめられたり、家庭の問題で学校を辞めてしまう子どもも多いためです。子どもが安心して学校へ通い続けられるように、寄り添ったサポートをしていきます。

最後に

私たちソルト・パヤタスは「子どもに未来の選択肢がある社会」の実現を目指して活動をしております。今回私たちがアプローチをしている"出生証明書のない子ども"は、その社会から一番遠いところにいる子どもの1人かも知れません。是非、わたしたちと一緒に子どもたちの未来を見届けてほしいと思っております。ご支援・ご協力のほど、どうぞ宜しく願い致します。


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